THANKS WOMEN’S GOLF TOUR
4th GAME
大会公式レポート
日時:2021 年10 月22 日
会場:平尾カントリークラブ(愛知県豊川市)
Text:コヤマカズヒロ
Photo:矢田部裕
 早くも4 回目の開催となったTWGT(THANKS WOMEN’S GOLF TOUR)。過去3 回の会場だっ
た静岡県裾野カントリークラブから、今回ははじめて舞台を移し、愛知県の平尾カントリークラブで
開催された。
 選手自身がサポーターを集めることで出場できるユニークなシステムを採用するこの大会。次第
に認知も高まっていて、プロテスト合格を目指す女子選手にとって、実戦経験を積む貴重な機会と
なっている。TWGT に出場した選手の中から、新真菜弥、泉田琴菜、植手桃子、山田彩歩、といっ
た2020 年/ 2021 年プロテスト合格者が生まれ、今回出場した選手の中にも、11 月2 日から行
われる最終プロテストを控える選手は少なくなかった。
第4 回大会は48 名の選手が参加し、好スコアが続出する過去にないハイレベルな大会となりました。
 平尾カントリークラブは、アップダウンとドッグレッグの多い丘陵コース。ティーイングエリアからグリーンが見えないブラインドホールが多く、変化に富んだレイアウトが特徴だ。この日のグリーンは11フィート、コンパクションは22となかなかの仕上がりで、TWGTの和田泰朗代表が掲げる「ステップ・アップ・ツアー以上、レギュラーツアー未満のセッティング」というコンセプトに違わないものになった。このレベルの選手達にとっては、距離はそれほど長くはないものの、狙い所が狭く傾斜の多いレイアウトで、戦略とプレースメントの確かさが要求されるホールが続く。
 スタートホールである1番もそんなプレッシャーのかかるホールだ。右に大きくドッグレッグして、ティショットの落とし場所がタイトなレイアウトの中、緊張するティショットを打っていかなければならない。右の谷に落としてしまう選手、それを避けて左の斜面まで打ってしまう選手など、スタートからトラブルになる選手も少なくなかった。
1番は谷越えの右ドックレッグ。正面の高い松が選手にプレッシャーをかける難しいホールとなりました。
 そんな1番ホールの罠にハマり、スタートからトリプルボギーを喫したのが、地元出身の鵜飼桃選手。大学を卒業し、アマ資格を喪失したため、はじめてTWGTに出場することが出来たという。「有観客の試合がはじめてで緊張しましたが、でも励ましてもらったりして、楽しかったです」とコメントしてくれた。
 現代の女子ツアーはコースの距離が伸びるなか、バーディーをどれだけ奪えるかが重要になる。選手たちは基本的に攻める姿勢が強く、1番ホールのタイトなレイアウトでも出場選手全員がドライバーを手にしていた。
初出場となった地元愛知県出身の鵜飼桃選手。
スタート前はにこやかでも、全員ドライバーを持って果敢に攻めていきました。
高いショット力で平尾カントリークラブの難ホールを攻略し、7バーディという圧巻のプレーを見せてくれた石田可南子選手。
 今回のコースセッティングでは、セカンドショット以降が傾斜地からのショットになることが多く、中途半端な距離が残ることも少なくない。飛距離が出るのに越したことはないが、ただ飛べばいいというホールは少なく、キャリーと方向をしっかりとコントロールし、有利なところにプレースメントすることが重要になる。その結果、傾斜地からでもコントロールされたショットでグリーンに止める技術を持った選手、マネージメントに長けた選手が上位に来る結果となった。
その筆頭が、序盤から優勝争いをリードした石田可南子選手。アウトでは4つのバーディを奪いトーナメントを引っ張ると、後半も3つスコアを伸ばし、自己ベストとなる7アンダー「65」で見事優勝を果たした。TWGT和田代表の「4アンダー」という優勝スコア予想を遥かに上回る、圧巻の戦いぶりを見せてくれた。
好スコアの要因となったのが、その正確なショット力。特にティショットの安定感は抜群だ。最終ホールの18番は打ち下ろしの右ドッグレッグホール。ベストポジションに運ぶには、右の山を超えるような際どい方向を狙う必要がある。ほとんどの選手が左に逃げてしまう中、石田選手はそのシビアな山越えティショットを難なくクリア。この日の正確性とハートの強さは、群を抜いていた。
 優勝候補筆頭と目されていたのが幡野夏生選手。2019年のJLPGAレギュラーツアー「富士通レディース」で5位に入るなど、トップカテゴリーでの実績を持ち、最終プロテストにも何度も進出している実力者だ。踊ったり、ポーズを決めたりとエンターテイナーとしても知られていて、サポーターを味方につけて前半からバーディーを量産していた。
 一方、スイングに課題があるのか、待ち時間を見つけては素振りを行って、動きのチェックを繰り返していた。時には持っていたピンフラッグで素振りを始めたりもしていて、明るいプレーぶりとは別のストイックな一面も見せていたのが印象的だった。後半は2つのボギーがあり、4位タイでプレーを終えた。
毎回上位に入り、今回の優勝候補筆頭と目されていた幡野夏生選手。優勝はなりませんでしたが、今回もサポーターを楽しませてくれました。
毎回上位に入り、今回の優勝候補筆頭と目されていた幡野夏生選手。優勝はなりませんでしたが、今回もサポーターを楽しませてくれました。
 TWGTの大きな特徴が、サポーターの存在だ。各選手のギャラリーであり、ファンであり、スポンサーでもある彼らとの距離が近く、選手とも顔なじみのサポーターも少なくない。その熱量は高く、今回も関東圏、関西圏から足を運んでいる人も多い。
 試合中も選手に積極的に声援を送り、時にはフェアウェイを歩く選手たちと一緒に写真を撮ったりと、他の試合ではまず見ることの出来ない光景がコースの至るところで見られた。初出場の選手のひとりは、「どんな感じなんだろうと、なかなか想像できなかったけど、すごく楽しかった」と話す。サポーターが選手を応援し、選手がプレーの魅力でそれに応えるTWGTの魅力がそこにある。
 表彰式では、パー4の12番でイーグルを奪取した岡田唯花選手にイーグル賞の10万円、7つのバーディーを奪った石田可南子選手と播磨知優選手に最多バーディー賞として、それぞれ5万円が贈られた。見事な優勝を果たしたのもその石田可南子選手。優勝賞金100万円も手中に収めた。
2位はバックナインを「31」で回って5アンダーをマークした皆吉愛寿香選手、3位は4アンダーの安福千乃選手が入った。皆吉選手は2000年生まれで、日本女子アマに4度の出場経験を持つ新鋭。安福選手は1991年生まれで、レギュラーツアーやステップ・アップ・ツアーでの参戦経験を持つ、このカテゴリーでは実績のある選手だ。
日増しに実力を磨く選手がいるなか、毎年また新たな実力のある選手が登場する。選手層が厚くなり、年々その競争が熾烈になっているのが現在の女子ゴルフ界の現状だ。
イーグル賞の岡田唯花選手。
最多バーディ賞は石田可南子選手(左)と播磨知優選手(右)
優勝は7アンダーで2位に2打差を付けた石田可南子選手。賞金100万円を獲得しました。
バックナインを31という驚異的なプレーを見せた皆吉愛寿香選手は惜しくも2位でした。
 TWGT全試合に出場し、常に上位のサポーター人気を持つ笹原優美選手は、「TWGTは、応援してくれるサポーターの方がいないと試合に出られないという、初めてのかたちの試合です。皆さんと一緒に歩いたり、言葉を交わしたりして、選手の気持ちの流れまでわかってくるような、他にはない魅力があると思います。何よりも、こんなに楽しみながら試合を出来ることはないので」と話す。レギュラーツアーにフル参戦経験を持つ彼女にとっても、TGWTは特別なものになりつつあるようだ。
トータル4アンダー、3位となった安福千乃選手は3回目の出場。
4回全てに出場し、TWGTを選手側から支えた笹原優美選手(左)。
念願の優勝を獲得した石田可南子選手。さらに上のステージでの活躍が期待されます。
 優勝した石田可南子選手は優勝スピーチで、大会開催への感謝とともに裾野カントリークラブでのリベンジへの意欲を語っていた。過去3大会での成績は、9位T→40位T→4位Tと、本人もあと一歩の感が強いのだろう。
少し意地悪かとも思ったが、彼女に今後の予定を聞いてみたところ、「まだ来年のことは考えられない」と話してくれた。昨年は1打差で最終プロテストに不合格。今年は2次でまさかの不合格となった。これだけの実力のある選手であっても、プロテストの壁は高く、険しい。
 石田選手もそして出場した他の選手も、また新たな目標に向かって進む。TWGTでの経験と自信がそう遠くない未来にきっと活きるだろう。