THANKS WOMEN'S GOLF TOUR 6th GAME 公式レポート 文●コヤマカズヒロ 写真●矢田部裕/有原裕晶/コヤマカズヒロ 2022年5月13日 裾野カンツリー倶楽部 大雨予報で開催が危ぶまれた第6回大会  選手自身がサポーターを集めることで出場できるという独自のシステムを採用するTWGT(THANKS WOMEN’S GOLF TOUR)。第6回大会は、初開催から第3回大会までの舞台となった裾野カンツリー倶楽部で行われた。いわば、TWGTのホームに戻ってきた格好だ。  しかし、今回は開催が危ぶまれるほどの豪雨の予報。開催できるのか、できないのか、それとも9ホールのみの限定開催となるのか。直前まで判断はできず、選手たちも運営スタッフも落ち着かないまま、試合当日の朝を迎えた。  そんな状況の中、選手を応援するサポーターからは、「なんとか開催してほしい」という激励にも似た連絡が相次いだ。TWGT和田泰朗代表は、前日に「最後まで開催する努力をするので、選手たちも試合に備えて準備してほしい」とコメントを発表。選手たちもそれぞれ心を決めて、雨中のプレーを想定した準備を行っていた。  裾野カンツリー倶楽部の特徴のひとつが、過去大会でも選手を苦しめた高速グリーンだ。しかし、これほどの大雨では想定するスピードは出ない。当日のグリーンはスティンプメーターで10フィート。「いつもの裾野の速さではない」という選手がいる一方で、「思ったよりもグリーンのスピードが落ちなかった」、「雨を計算に入れたら、はるかにオーバーした」という声もあり、豪雨の中であっても水たまりにもならず、競技に耐えるコンディションを維持した裾野のグリーン管理は見事なものだった。  心配された雨は、一時的に強く降るものの小雨の時間も長く、結果的にはすべての選手が18ホールを完走して無事に競技成立となった。しかし、雨の中のウェットなコンディションは選手たちをジワリと苦しめた。ラフは水を含んで重く、抜けにくさがあるものの、芝の穂もあってフライヤーを計算しなくてはならない。プリファードライが採用されてはいたが、地面は軟らかくて少しでも手前に入ると、大ダフリするような状況だった。結果的に、バーディを奪取しても、それ以上にわずかな差でボギー以上になるシーンも多く、選手たちは微妙にスコアを伸ばせない一進一退の状況が続いた。 トーナメントを盛り上げた選手たち  そんな中、前半で一時3アンダーまでスコアを伸ばし、試合をリードしたのが平塚新夢選手だ。平均スコアが「4.754」という最難関の13番ホールでは、全選手中唯一のバーディ。このホールはバーディ賞がかかっており、「ハーフで競技終了になったら、バーディ賞もなくなりますか?(笑)」とラウンド中に心配する余裕をみせながら、ショット、パットとも安定したゴルフを展開した。  いわゆるインサイドロープで観戦でき、サポートする選手と会話することも出来る距離の近さがTWGTの最大の魅力。この雨の中でも、200名を超えるサポーターが観戦に訪れて、選手たちを熱心に応援した。その中でも一際多くのサポーターを引き連れていたのが、今大会中、最多サポーターを得た宮田志乃選手だ。  豪快なスイングでの飛距離が持ち味だが、この日はティショットでフェアウェイウッドを多用し、フェアウェイキープを重視する作戦。それも、ドライバーを使ったのはわずかに3回という徹底ぶりだった。スプーンでも230〜240yは飛ぶという飛距離を活かして、ウェットなコンディションでも有利な大きいキャリーボールで、試合を優位に展開した。一時はトップを伺う奮闘を見せたものの、13番と15番でアプローチが寄り切らずボギー。わずかの差で優勝を逃した。  同じく、最終盤でまさかの失速をしてしまったのが、今綾奈選手だ。  ステップアップツアー参戦経験を持ち、出場選手の中でも屈指の実績を持つだけに、終始安定したゲーム運びで試合をリードしていたが。最終18番ホールでパーなら優勝という状況で、フェアウェイから打った3打目がわずかの差でまさかの池。ダブルボギーとしてしまい優勝戦線から脱落してしまった。  3打目は、カジュアルウォーターを適用するほどウェットなライで、強い左足下がりの傾斜がかかる状況。わずかなダフりも避けたいシチュエーションで、結果的に少し薄く入ってしまったようだ。たった一打でその試合の趨勢が決まってしまう、そんなゴルフの持つ過酷さを見たシーンだった。 優勝の行方は3選手によるプレーオフへ  後半に崩す選手が多く、スコアが伸び悩む展開となった今回のTWGT。優勝争いは、1アンダーで並んだ平塚新夢、新田祐美菜、青井麻瑚の3選手によるプレーオフ決着となった。  18番パー5で行われたプレーオフは、1ホール目で青井選手が脱落。2選手での争いとなったが、3ホールが終わって決着がつかず、4回目からは残り100y地点からプレーオフを2度行ったが決着はつかなかった。  プレーオフ6回目からはグリーンに近づいて、アプローチで対決。位置を変えて繰り返し行われるも、朝から雨の中プレーした疲労やプレーオフの緊張からか、両選手ともなかなかピンに寄せることができない。結局、9回のプレーオフを行っても決着がつかず、10回目は1.5mのスライスラインでのパッティング勝負となった。  このラインを読み切って1パットで沈めた平塚選手に対し、新田選手がわずかに外して万事休す。10度に渡るプレーオフを制した平塚選手がTWGT初優勝を果たした。平塚選手は、優勝賞金120万円に加えて、狙って獲ったという13番ホールのバーディ賞も手中に収めた。  表彰式後のインタビューでは、「プレーオフでは勝負を決めるパッティングを何度も外してしまって、見ている方をお待たせして申し訳ない気持ちもありました。これまで勝負どころで外すことが多かったので、最後まで諦めずに頑張れて良かったです」とコメント。この経験をプロテストでも活かして頑張りたいと、決意を新たにしていた。  表彰式が終了したのは、午後5時半。悪天候の中で開催が危ぶまれながら、なんとか長丁場の一日を終えることができたのは、幸運だったといっていいだろう。開催を望むサポーターたちの熱量が選手にも伝わり、明るく楽しいTWGTらしい大会を無事に終えることができた。  TWGTの次回開催は11月を予定。その頃には今年のプロテストは終了している。これまで何人もの選手がTWGT出場を経て合格をつかんだように、今回の出場選手からも難関を突破する選手が現れるはずだ。 開催6回目にして初めての本格的な雨。しかも前日まで10㎜を超える豪雨予想だった。 相当な降雨にも、まったく水が浮くことが無かった裾野カンツリー倶楽部のグリーン。 水をたっぷり含んだラフはボールコントロールを難しくし、選手たちを苦しめた。 終始トーナメントをリードしていた平塚新夢選手。13番のバーディは見事。 FWを多用する頭脳プレーを見せたが、あと一歩のところで優勝を逃した宮田志乃選手。 優勝カップに手をかけながら、最終ホールの痛恨の一打で優勝を逃した今綾奈選手。 本戦18ホールから10度のプレーオフを通じて粘り強いプレーで見事優勝に輝いた平塚新夢選手。