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公式レポート THANKS WOMEN’S GOLF TOUR 7th GAME 2022年11月11日 裾野カンツリー倶楽部 Text:コヤマカズヒロ Photo:矢田部裕     有原裕晶 最終プロテスト直後に 開催されたトーナメント  裾野カンツリー倶楽部で行われた前回のTWGT(THANKS WOMEN’S GOLF TOUR)第6回大会の最後に、和田泰朗代表は「第7回大会は、最終プロテストの翌週に開催します。一人でも多くの選手がテストに合格して、またこの裾野に帰ってきてくれることを願っています」とスピーチした。  これまで何人もの選手がTWGTで経験を積み、プロテスト合格を勝ち取ってきた実績がある。今年もまた多くの選手が合格することが期待されていた。  ところが、最終プロテストまで残った選手は数多くいたものの、結果的に新たに合格した選手はゼロという結果に終わった。それだけ現在のJLPGAプロテストがどれだけ難関かということを示しているとも言えそうだが、この結果に、ファンを含めたTWGT周辺でも残念な雰囲気が包んでいたように思う。  そんな雰囲気を払拭したのは、他でもない出場選手たちだった。特に最終プロテストまで残った選手は、前週に4日間の激闘を終えたばかり。疲れも悔しさもあるはずだが、そんなことを全く感じさせず、明るく奮闘していたのが印象的だった。 選手のポテンシャルを 引き出す高速グリーン  会場となる裾野カンツリー倶楽部のコンディションは素晴らしく、選手たちからも称賛の声が多く聞かれた。近年は池を増設するなど、トーナメントコースとしてより戦略的なコースへの改造を精力的に行っており、過去に出場経験のある選手たちもその変化に戸惑うほどだった。  11月22日からはJLPGAの1stQTが行われることもあり、定評のある高速グリーンも仕上がっていて、そよ風程度の風でも距離感が微妙に変わるほど、繊細な状態となっている。  1DAYトーナメントでの強さに仲間からも定評のある荒川侑奈選手は、「グリーンの状態がいつも速くて硬い。思ったところに転がっていく」とコンディションの良さを指摘していた。コースが綺麗で、景色も良い裾野は好きだという。  前回大会はあいにくの雨だったが、今回はすっきりとした秋晴れ。空気も澄んでいて、雄大な富士山を望みながら、選手たちも気持ちよくプレーできたようだ。 序盤の見所は 3番ホールの選択  3番ホールでは、1オンチャレンジが可能になるように、ティーイングエリアを前に移動した。ピンまでの距離は236Y。多くの選手が十分にワンオン可能で、飛距離の出る選手であれば、フェアウェイウッドでも十分に届く状況だ。グリーン方向に見える富士山に向かって、選手たちは果敢にグリーンを狙っていた。  崖のある右サイドは危険で、仮に残ったとしても木がスタイミーになったり、アゴの高いピンサイドのバンカーに入る危険がある。このバンカーに入ると、難しいバンカーショットが要求される。左サイドにボールを運べた選手が、優位に進められるホールだ。  自身の飛距離に関わらず、選手によって2打目を打ちたい場所に刻む選手と、グリーンを狙う選手に分かれていたのは面白い傾向だ。左のガードバンカーに入るのは良しとする選手もいるし、バンカーまで届かない距離を打ち、2打目で勝負する戦略を選んだ選手もいた。  もちろん大胆にグリーン右サイドのピンを狙っていき、イーグルチャンスにつけた選手もいた。花道からフェードで寄せる技術を駆使した選手もいて、攻め方に選手の個性がはっきりと出ていたのが面白い。1オンに成功すると、もちろんサポーターたちも沸く。こうした見せ場が出来るのは、コースセッティングの妙味だと言えるだろう。 試合を盛り上げた 選手たち  試合序盤、トーナメントをリードしたのは、早々に3アンダーまで伸ばした中野なゆ選手だ。今大会では、酒井里奈選手と並び、満枠となる50口のサポーターを集めている。最終プロテストにも進出しており、仕上がりの良さを感じさせるプレーぶりだった。  縦の距離感が良く、このまま優勝まで伸ばしていけそうな雰囲気だったが、最終18番ホールでセカンドショットがOBになるなど、終盤に2つのダブルボギーで失速。最終的に13位タイに終わった。試合後は、ローピングがなく、サポーターとの距離が近いTWGTの楽しさをコメントしてくれた。次回大会でも優勝争いに絡んでくるはずだ。  最終プロテスト直前で体調を崩し、テストを受けられないというトラブルに遭ったのが、幡野夏生選手だ。心身ともにコンディションが心配されていたが、持ち前の明るさで、最もサポーターが盛りあがる組となっていた。  本人曰く、至近距離でサポーターから応援されるTWGTは、〝お祭り〟だと思っていて、こんなにアットホームな試合はないという。あれだけファンを沸かせられるのは、まさにプロ向きの選手だと思うのだが。 「扁桃腺が腫れるとプロテストが受けられなくなるので、良いお医者さんを見つけます」と、こちらがドキリとするようなジョークを飛ばし、最後まで明るくサポーターと接していたのが印象的だった。来年は救済処置で、最終プロテストからの挑戦になるという。  今回、唯一のJLPGA会員として参戦したのが、ツアーでも有数の飛ばし屋である川崎志穂選手だ。パッティングに苦しみ、本人も初めてという5回の3パットを喫してしまった。多くの選手が手を焼く高速グリーンだが、レギュラーツアーの参戦経験も豊富な川崎選手は、〝遅い〟と感じたらしく、突っ込みきれないパッティングが多くなってしまった。  TWGTの印象を「ツアーと変わらないほどのギャラリーの多さで、ローピングがないとファンとの距離も近い。コースも広く感じられた」と語ってくれた。パッティングの前に、「バーディが見たい」とサポーターに声をかけられるような経験も初めてで、楽しかったという。 優勝を決めたのは圧巻の 4連続バーディ  優勝したのは、新井里茄選手。INスタートの後半、15番から4連続バーディ。OUTも2アンダーとまとめて、通算5アンダー「67」の好スコアをマークした。  つい3日前に、アメリカで10日間で7ラウンドという強行スケジュールをこなしてきたばかりだという。時差ボケもなく、好調のままプレーできたのが勝因のようだ。また、キャディさんの力も大きかったようで、言われたところにパッティングしたことが好スコアにつながったのだという。TWGT第5回大会から採用された帯同キャディの影響は、やはり小さくないようだ。 「父親の前で優勝スピーチするのは、高校生の時以来で嬉しく思います」という言葉は、それまでの決して平坦ではない、親子の道程を思わせるものがあった。 試合経験を積むという TWGTの役割  TWGT全試合に出場し、トータルで最も多くのサポーターを集めた笹原優美選手も、惜しくも最終プロテストで不合格になった選手。試合後に少しだけテストについて聞いてみた。意外にもその戦いに彼女は手応えを感じたという。  「今回は初めてテストに合格できる実力を持って臨めたし、自分が取り組んできたことの成果が出せたと思います」(笹原選手)。合格できなかったことは、もちろん残念で悔しいはず。しかし、それ以上にゴルファーとして成長できたことに、自信を感じさせる言葉がそこにあった。  プロテストを目指す女子選手たちに、TWGTの認知度は上がり、選手層も回を増すごとに厚くなってきている。そして何よりも、当初から参戦していた選手たちもまた、ひとりひとりがレベルアップしている。大会を追うごとに、選手たちはそれぞれの課題に取り組み、着実に成長しているのだ。その点で、女子選手が試合経験を積めるようにというTWGTの目的のひとつは、徐々に実現しつつある印象を受けた。  プロテストで敗退した選手たちが、明るく奮闘していたのは、すでに起きてしまった結果は変える事ができないこと、その経験を活かしてさらに成長していくしかないことを知っているからなのだ。彼らは周囲が思う以上に前向きに捉えて、次の目標に取り組んでいる。ゴルファーにとって、経験は決して無駄にはならないのだ。 一時は3アンダーまで伸ばしトーナメントの序盤をリードした中野なゆ選手。後半のダブルボギーは残念だった。 毎回多くのサポーターを集める幡野夏生選手。体調不良でプロテストを棄権した直後の大会となった。 初出場の金城和歌奈選手は69をマークし単独2位でフィニッシュ。 出場選手中唯一のJLPGA会員である川崎志穂選手はグリーンに苦しめられた。 明るいキャラクラーで人気の梅田日陽選手は3位タイ。 1DAYトーナメントに強く、第3回大会で優勝した荒川侑奈選手は22位タイ。 優勝は第1回大会から参加してる新井里茄選手。前半に圧巻の4連続バーディでトーナメントを終始リードした。裾野カンツリー倶楽部のハウスキャディを帯同キャディとして起用し、高速グリーンの攻略に成功。 TWGTのユニークな点は、選手とサポーターの距離が近いこと。プレー中は選手の近くで観戦し、プレー後も選手とサポーターがふれあう時間を設けている。 2022年全3誌合のトータルポイント1位は、第1戦で優勝した楠本彩乃選手。第2戦、第3戦とコンスタントに上位に入った。 2022年全3誌合のサポーター獲得ポイント総合1位は笹原優美選手。毎回多くのサポーターと共にプレーした。 観戦に訪れたシニアの芹澤信雄プロ。TWGTのシステムを評価し応援してくれている。 TWGT 8th GAME 2月3日開催! THANKS WOMEN'S GOLF TOUR第8回大会が、2023年2月3日(金)に静岡県浜松市のグランディ浜名湖ゴルフクラブにて開催されます。詳細及びサポーター登録は下記サイトからお願いいたします。 https://www.twgtour.com/

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