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公式レポート

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WOMEN’S GOLF
TOUR

9th GAME

2023年6月23日 平尾カントリークラブ

Text:コヤマカズヒロ Photo:矢田部裕/TWGT

変化に富んだレイアウトと 素晴らしいコンディション  第4回大会以来となる愛知県豊川市の平尾カントリークラブでの開催となった、TWGT第9回大会。距離はそれほど長くはないものの、アップダウンが強く、ブラインドホールも多い変化に富んだレイアウトが特徴のコースだ。  第4回大会では、石田可南子選手が7バーディーを奪い、「65」というビッグスコアで優勝した。そして、5アンダーで2位に入った皆吉愛寿香選手が見事、2022年のプロテストに合格している。テスト合格のための実力を養う意味でも、TWGTで上位に来ることは重要になるはずだ。  もっとも、TWGT和田泰朗代表は「前回のようなバーディー合戦にはならない」と、今回はより厳しいピンポジションを設定した。難度の高いショットを成功させたらバーディーにつながる、選手の実力が試されるセッティングを目指したという。加えて、スティンプメーターで10・5、コンパクションは25mmに迫る硬さで、素晴らしく仕上がった平尾のグリーンが選手を待ち構えた。  和田代表の設定した優勝スコアは、4アンダー。どれだけアグレッシブにピンを攻めて、バーディーを奪えるかが勝負の鍵になる。  アップダウンが激しいコースレイアウトでは、しっかりと有利なポジションにボールを運ぶマネージメント力と、傾斜地や中途半端な距離でも、キャリーと方向をコントロールするショット力が求められる。今回の試合でもティショットが安定し、傾斜地でのショットに冴えを見せる選手が活躍していた。  一方、アップダウンの激しさはサポーターにとっても大変だ。 急激な上り坂であっても、選手と同じスピードでついていかなくてはならない。今回の試合では、選手たちはホール間の移動で乗用カートを使用するが、それとは異なりサポーターはインターバルでもひたすら歩かなくてはならない。  選手を応援するサポーターとの距離が近いのは、TWGT最大の特徴だ。パッティングでは、グリーンサイドまでサポーターが取り囲み、パットの打音はもちろん、選手たちがグリーンを踏む足音まで聞こえてくる。あるサポーターは「しびれるパーパットのたびに、こちらの心臓も痛くなる」と語っていた。  他では味わうことの出来ない、この臨場感と緊迫感を味わうため、サポーターたちもまた、汗を流しながら選手についていく。 話題を集めた 三浦桃香選手の初参戦  開催前から話題になっていたのが、今大会で一番のサポーター数を集めた三浦桃香選手の初参戦だ。  ジュニア時代から黄金世代の有力選手として注目され、単年登録で2018〜2019年シーズンをレギュラーツアーで戦った。何度も優勝争いを経験し、トップクラスの飛距離とスター性で将来を期待されていた選手だ。  残念ながら、紫外線アレルギーによる体調不良やプロテスト合格者のみがQTに出場できるという制度改定の影響と、自身もティーチングプロ資格の取得を目指していたこともあり、競技からは遠ざかっていた。現在はレッスンを中心に、メディアなどで活躍している。女子の試合は、2019年のスタンレーレディス(※13位タイ)以来だという。  TWGTに出場する選手は同世代も多く、彼女たちにとっても気になる存在だったろう。 3年ぶりの試合出場ということで、序盤は静かな展開だったが徐々に実力を発揮。9番でバーディーを奪うと、10番、そして12番13番でも連続バーディーを奪い、その時点でトップに躍り出た。  13番パー5では、果敢に2オンを狙って見事グリーンエッジまで運んだ。花道を転がりながら、わずかにグリーンオンしないボールを見て、ピョンピョン飛び跳ねながら悔しがる様に、サポーターは大いに湧いた。 ワンオンも狙える短い16番パー4で、狙った方向に打ち出したと思えたティショットが、ガードバンカーに入ってしまい、左足下がりの難しいライからボギーを打ち、最終的には5位タイという結果だった。  試合終了後は、大勢のサポーターひとりひとりに、サインや写真撮影に応じていた。レギュラーツアー参戦中から、出来るだけ多くのファンに接してきたのだという。  今回、TWGTに出場した理由もファンやレッスン生たちから、「また試合でプレーしているところを見たい、という声をたくさんいただいたこと」なのだという。今後の試合出場にはあまり積極的ではないようだが、TWGTでまた見てみたい選手だ。 TWGT史上稀に見る 混戦の試合展開  トーナメントをリードしたのは、第6回大会の優勝者であり、三浦選手と同組でまわった平塚新夢選手。2人は小学生時代からの知己で、ジュニア時代から切磋琢磨してきた仲だという。  5番ホールで、カート道に当たったボールがOBとなり、ダブルボギーを打ったものの、それ以降は危なげなく、後半は「32」をマークして、4アンダー「68」でフィニッシュした。高いアイアンのショット力を武器に、ティショットも安定しており、アプローチの距離感にも冴えがある。昨年のプロテストは最終で敗退しており、今年にかける気持ちも強いだろう。  実力者の土方優花選手も、12番までで3アンダーと伸ばし優勝を伺ったが、後半ショットが乱れ、上がり4ホールを4ボギーと大きく落としてしまった。地元出身の選手でもあり、サポーターにとっても悔しい結果となった。  平塚選手を上回る7つのバーディーを奪ったのが、中野なゆ選手だ。  サポーター数では3本の指に入る人気選手だが、TWGTでは常に優勝争いに絡んでいる実力者でもある。昨年のプロテストも最終まで進出している。  不運だったのは、出来れば伸ばしていきたい3番のパー5で、痛恨のロストボールがあり、ダブルボギーにしてしまったことだ。 「オレたちがボールを見つけてさえいれば、優勝できたんだよ」と、中野選手のサポーターたちが嘆いていたのが印象的だった。  最終ホールを迎えて4アンダーをキープし、パーならプレーオフという状況だったのが、中尾彩乃選手。サポーターの声で本人も状況がわかっていたようだが、プレーオフを決める最後のパッティングが決まらず、無念の2位タイとなった。 「でも、今日は長いパッティングも入ってくれましたし、それが入らないのが今の自分の実力だと思うので、プロテストまで頑張っていきたい」と挽回を誓っていた。  諸橋愛奈選手は、最終ホールバーディーならプレーオフだったが、残念ながら届かず2位タイとなった。とはいえ、スタートホールではティショットで暫定球を打ち、2番ではボギーとという不安定な立ち上がりから、4バーディーを奪い、実力の高さを見せた。前回大会でも2位に入っており、今年のTWGTポイントランキングでは堂々のトップとなっている。 混戦を制したのは 平塚新夢選手  優勝は、平塚新夢選手。第6回大会以来の2度めの優勝を果たした。  優勝スピーチでは、サポーターの応援と同組の選手たちのおかげで楽しく回ることが、勝利につながったとコメント。プレーオフに備えて練習していたところ、優勝が決まった瞬間に三浦桃香選手が祝福に駆けつけていたのが印象的だった。  コロナ禍で、スポーツや芸能はもちろん、世の中の数多くのものが止まってしまった時期にTWGTは始まった、と和田泰朗代表は言う。1試合1試合開催を重ねて、TWGTはそんな逆境に打ち勝ったといえるだろう。  多くの選手達が、この勝負の場を活かして、実力の研鑽に励んでおり、結果として全体的なレベルも向上してきているのが感じられる。今年のプロテストも厳しいものになるだろうが、TWGT参加選手たちの奮闘は十分に期待できそうだ。

この日はジュニア時代からの友人である平塚新夢選手と、所属先が同じ荒川侑奈選手、岡田唯花選手と同組。和やかな雰囲気とともに優勝争いの緊張感もある、サポーターにとっては見ごたえのある組合せとなった。

今回30名を超えるサポーターを集めた三浦桃香選手。プレー後のコミュニケーションタイムでは、1人1人丁寧に対応していたのが印象的。

2年数カ月ぶりの試合となった三浦桃香選手だが、豪快なスイングは健在。笑顔と共に、その飛距離でもサポーターを魅了した。

❶トーナメント序盤を盛り上げ、一時は3アンダーまで伸ばしたが、上がり4連続ボギーで失速し26位タイとなった土方優花選手。 ❷前半はイーブンパーで上位をうかがい、後半の4バーディーで一気に抜け出し後続を振り切って優勝した平塚新夢選手。 ❸3アンダーでプレーオフには一歩届かなかったが、7バーディーで最多バーディー賞を獲得した2位タイの中野なゆ選手。 ❹一時は5アンダーまで伸ばしてこのまま優勝かと思われたが、14番、18番でボギーとなりプレーオフに持ち込めなかった2位タイの中尾彩乃選手。 ❺最終ホールでバーディならプレーオフだったが、惜しくもバーディパットが入らず2位タイとなった諸橋愛奈選手。

混戦を制したのは平塚新夢選手。TWGT2度目の優勝となり、初の複数回優勝選手となった。その安定したプレーぶりは、次回第10回大会でも優勝の最有力選手だろう。

今回はコミュケーションタイムも表彰式も、選手インタビューもすべてクラブハウス内で行った。平尾カントリークラブの広いクラブハウスを有効活用したTWGTでは初の試み。

TWGT 10th GAME 12月8日開催!

TWGT第10回大会が、2023年12月8日(金)に静岡県裾野市の裾野カンツリー倶楽部にて開催されます。詳細及びサポーター登録は下記サイトからお願いいたします。

https://www.twgtour.com/

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